転職コンサルタント細井智彦氏によるコラム

WEB面接の実施状況について(東海エリアへの私見含む)

しばらくのあいだ

R4キャリアさんの場をお借りして

コラムを書かせていただくことになりました。

思いついたことでもかまわない、と寛大なお許しをいただいたので

転職ノウハウものじゃないほうが多くなったらどうしようって

テーマを考え始めたら

結局いまや、なにを語るにも新型コロナ抜きでは考えられなくなっていました。

ということで、しばらくは自分の振り返りも兼ねて

新型コロナが転職の世界に与えたインパクトと

これからについてみなさんと考察してみようと思います。

新型コロナによって世の中で大きく変わったのがStay Home。

物理的な接触と移動が絶たれてしまったことです。

対面系の観光やエンタテイメント、物販、飲食などの業界や

その業界に関わる仕事は苦境に立たされ

ビジネスや就職・転職活動も対面は避けられました。

会議は社内でもオンライン。

仕事はリモートワーク。

面接はWEBで、とすっかり様変わりです。

いままでも遠方の人や

なかなか時間が取れない候補者との面接では

Skypeを用いた面接は行われていましたが

あくまでも補助的な手段でした。

それでも新型コロナ出現前の2019年でも学生の20%※がWEB面接を経験していました。(※出典 マイナビ2020年卒 学生就職モニター調査 6月の活動状況)

それが緊急事態宣言によって

オンラインでできることはオンラインで、と

デフォルトがリアルからWEBに一瞬で流れが変わりました。

動きは大手から始まり、その流れはかなり早かったと思います。

大手企業の人事の仕事は一気にリモートワークになり

説明会や面接も学生面接の多くはWEB化され

会社によっては最終面接まで

WEBで完結させるところも少なくありません。

この5月に学生が経験した面接の96%がWEBで行われています。

グラフ

自動的に生成された説明

出典:マイナビ2021年卒 学生就職モニター調査 7月の活動状況

一方中小企業はといえば

大手よりはまだまだオンライン化は進んでいないようです。

回答者の90%が従業員300名以下の中小企業の調査データによると

WEB面接の実施経験のある会社は7月末時点の調査ではまだ26%でした。

グラフ, 棒グラフ

自動的に生成された説明

出典 エン・ジャパン 900社に聞く「オンライン面接」実態調査 2020年

WEBやオンライン化への取り組みでは

大手と中小では大きな温度差があるといえそうです。

ただ、中小企業も

実施するかどうかはともかく

WEB化への関心はとても高いようです。

私の開催する企業向けのセミナーでも

「WEB」は大きな惹きのキーワードになっており

「面接」セミナーと「WEB面接」セミナーだと

「WEB面接」のほうは開始以来過去最高の申し込みがありました。

実際、いまネットでは

オンラインミーティングやWEB面接のノウハウものが

もの凄い勢いで展開されていますね。

しかし、中小企業でも関心はあるものの

実際に導入したい、という気持ちにはどうやら

まだなっていないようです。

WEB面接を実施した会社で、今後も積極的にWEB面接を展開したい、という意向は71%ありますが、実施していない企業で今後実施する意向は32%しかありません。

グラフ, 棒グラフ

自動的に生成された説明

出典 エン・ジャパン 900社に聞く「オンライン面接」実態調査 2020年

WEB面接未実施の会社が、なぜ実施しようとしないか、という理由は

オンラインに慣れていない、もしくは会えるなら会ったほうがよい、というものです。

WEB面接は新型コロナでやむを得ず実施するもの

というように位置づけられているのかもしれません。

一方で実施した企業では70%以上の企業がWEB面接の継続を考えています。

これは、最初は新型コロナがきっかけで

必要に迫られてやってみたら、これは続けていくことができそうだ、と

何らかのメリットや価値を感じたからではないでしょうか。

このように、実施したら続けたくなるけど

実施してないところはあまり乗り気じゃないWEB面接

新型コロナが落ち着いてきてもWEB面接は続けるべきなのか

消去法なら、なくすべきですが、私はそうは思いません。

私は、二者択一ではなく

WEB面接を上手に取り込み

採用力を高めることをお勧めします。

別になにもすべての面接をWEBでやることもないわけで

それぞれを有機的に組み合わせて

転職活動初期段階の人にアプローチする手法として

場所を選ばないWEBのメリットを最大限活用し

面接というよりも面談的な場と位置づけて実施し

有望な候補者には、その後会社に来てもらい対面面接で

会社の雰囲気を伝え、候補者の情報も得る、という展開にするのです。

特に、中小企業のほうが

WEB面接に積極的に取り組むほうがよいと思います。

なぜならば、WEB面接を実施していることが

企業経営において、従業員ファーストの価値観を示す材料になるからです。

働き方改革がややもすれば後手に回りがちな中小企業にとって

エッセンシャルワーカーはともかく

他社がリモートワークを導入している職種でも

一切リモートワークを導入していないとなると

いまの時代、従業員の安全をどう思っているのか、と

いう見方をされる可能性があるからです。

このように、新型コロナの動向に関係なく

中小企業もWEB面接の導入を進めるべきだと思うのですが

ご当地東海地区では

オンラインやWEB化の壁が高い可能性があり、

対応策を他の地域以上に考慮する必要があるのかな、と考えてます。

というのは、愛知、東海の企業は他の地域に比べ

足を運ぶこと自体に価値を見出す文化があるように思うからです。

愛知の会社さんと深いお付き合いがはじまりそうになったときに

ご当地の営業事情に詳しい人から

「ここは会うことを好む土地柄。

しょうもないことでもメールや電話で済まさずに行ったほうがいい」と

アドバイスをもらいました。

これはつい昨年のことです。

以前から愛知マーケットは

よそ者に対する警戒感があり、信用されるまではとても時間がかかるが

一度信頼いただければ、非常にスムーズに事が運ぶようになる。

ということよく聞かされてきました。

あとそのほかには、

名古屋で企業の面接官や転職希望者の方を集めて

話をした際に、リアクションが薄いな

ということをよく感じていました。

リアクションが薄いとどうなるか

受け容れてもらっている手応えがわからずに不安になります。

不安になると、どうなるか。

手応えが薄いので、つい何度も何度も同じ話をして、話がくどくなりがちです。

だから、私が東海で仕事をするうえで、意識していたことは

リアクションが薄い人を見つけても、むきにならずに

うちに秘めたるアツい思いを持って受講いただいているはずだ。

と自分を信じて臨むということでした。

実際、セミナー終了後に

話してるときには、聞いてなさそうに見えてた方から

とても的を射た質問を受けたことも一度や二度ではありませんでした。

ということで

東海、愛知のご当地の人たちの多くは

初対面の得体のしれない人には警戒し、感情を表にださず、

リアクションが薄い人が多いのかもしれない、と思ってますが

いかがですか?当たってますか?

もし、該当していたら、ですよ

ただでさえ、初対面ではリアクションが薄く、感情がお互いよみにくいのに

それがWEB環境になると、倍増してしまうということになるわけです。

これはなかかなか大変なことです。

お互いが東海の人ならよいのかもしれませんが、

東海の人が東京の会社の面接を受けるとしたら、

これは相当意識をして臨まないといけないということにならないか

と危惧が生まれます。

ここで、足を運ぶという行為が

信頼関係を作るために大事なことということを分解すると

そこには、ふたつの要素があるように思います。

雑談をして、相手の人となりを知る、ということ

それと、わざわざ会いにいくための時間と手間を相手のためにかける、ということです。

オンラインは

効率的に優れた無駄のないストレートな

ビジネスコミュニケーションがとれる一方で

相手のことを理解し人間関係を構築するという点では

何度も顔を合わせることで自然に分かり合えていた場が

なくなってしまいがちです。

だから、何度も会うことによって

自然にできた人間関係を短時間でオンラインで構築するためには

相応の努力と手法を駆使する必要がある

ということをきちんと自覚できるかどうか、そして実行できるか

これがご当地でオンラインが根付くか否かの分かれ目になるように思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

次回以降もしばらくはWEB面接を導入するにあたっての留意点や、

企業、転職希望者それぞれが、どんなことをして臨めばよいか

などについて書く予定です。