転職コンサルタント細井智彦氏によるコラム

WEB面接のメリットを活かした新しいアプローチについて

年末年始のあいだに来年のことを考える方も多いと思います。
今回はWEBをうまく組み込み面接全体を再構築する方法について書きました。

WEB面接元年

新型コロナが拡大したまま新年を迎えることになってしまいました。

会社の忘年会はとりやめになり

年末年始の帰省も躊躇せざるを得なくなっている状況のなかで

みなさんの会社でのリモートワークやWEB面接の導入状況は

いかがでしたでしょうか。

好むか好まざるかに関係なく

面接や仕事のオンライン化が進んだ2020年ですが

未だWEB面接を導入していない会社も少なくありません。

WEB面接はデメリットばかりが目立ちがちだけどメリットも多い

確かにWEB面接はリアル面接に比べて

音声が途切れたら、画像がフリーズしたらどうしよう

といった通信環境の不安や

お互いの雰囲気や手応えが伝わりにくい、

というハンディキャップが存在します。

しかし、一方でWEBのほうが話しやすいという意見もあります。

意外に若い人たちはWEB面接には抵抗が少なく

むしろ、いきなり対面で向き合うより

圧を感じずに、カジュアルな感じで臨めると

メリットを感じている人も少なくありません。

大勢の前では緊張してしまうけど

TikTokにはキレキレのダンスをアップできる

みたいなものかもしれませんね。

実際、あるIT企業の例ですが

新型コロナで、最初の面接をWEBにしたら

その後のリアルでの面接が

とてもいい感じで進められるようになりました。

候補者に感想を聞くと、

最初にWEBで気軽に話せたので、

直接会うときも緊張しないで

面接官に親しみと信頼感を抱いて臨めた、

ということでした。

年末年始に「面接」の展開そのものを見直してみませんか

前回、WEBかリアルか、の二者択一ではなく

最初はWEBで、その後じっくりリアルで会う、といった

いいとこどりのハイブリッド案を提案しました。

ここでは、一歩踏み込んで

ただ一次面接をWEBにするだけではなく、

WEB面接の持っている

場所を選ばない。日程調整のしやすさと

それによる早期アプローチが可能になるというメリットや

いわゆる圧が少なく、カジュアルな場にしやすい。

などの特徴を活かしきることを考えてみましょう。

面接から面談へ 早期アプローチを実施

WEB面接を積極的に取り入れている企業のなかには

すでに「面接」ではなく「面談」ということばを用い

WEB面談と称しているところがあります。

面談ということば自体は

新卒採用場面では

以前からけっこう使われており

選考色をあまり感じさせないような仕立てで

座談会のような場から

候補者とコンタクトをはじめることが行われてきました。

そんな新卒採用に対し

中途採用では、一次面接、二次面接、という

選考を前提とした流れが一般的だったのですが

新卒と同じように動機の浅い段階での「面談」を

WEBで導入するということです。

いまの候補者は

入社意欲のある積極的な応募というより

スカウトメールによる求人側からのアプローチや

転職エージェントに勧められてのものが中心となっており

採用側としては候補者の志望動機の弱いうちにコンタクトし

面談や面接の過程で候補者の入社意欲を高めていくという動きが求められています。

そして、その流れに対し

活動初期の段階からカジュアルにアプローチできる

WEBはとても相性がよいのです。

リファラル採用にも活かせる

中途採用でも例外として

「面接」ではなく「面談」と言ったほうがしっくりくる場があります。

それはリファラル採用と呼ばれる、従業員からの紹介経由の人材と会うときです。

まだ動機や志望理由もない段階の候補者に

できるだけ早期にコンタクトし、相互に理解しあったうえで

改めて選考のテーブルで面接に臨むというリファラル採用の流れでは

ファーストコンタクトとして

会社に出向かず自宅から面談できるWEBはとても有効な方法です。

WEB面接では候補者の「オンライン力」を引き出せる

あと、WEB面接の雰囲気やニュアンスが伝わりにくい、

感触がわかりにくい、という特徴は

リモートワークでも同じです。

言いかえれば、

リモートワークでのコミュニケーションでは

雰囲気やニュアンスなどの感覚的な情報を

ことばでブレなく同じ意味で伝え、確認し、共有できるようにすることが求められます。

いわばオンライン力ともいえる能力です。

WEBでの面談で雑談を交えながらこれらの能力を試してみることで

候補者のオンライン力を引き出すこともできます。

リアルでやること、の意味を問われる

一方リアルな場について、ですが

いままでは会うことが当たり前だったので、

候補者も訪問することになんの違和感も覚えなかったでしょうが、

WEB面接が普及しつつある今、

これからは候補者に「これならWEBでもよかった」と思われないように、

リアルな場を磨き込むことが求められるようになるでしょう。

例えば、社内や工場を案内するオフィスツアーを取り込んだり

採用予定部門のメンバーに引合せ対話する

プロダクツに触れてもらう、など

やっぱり直接会ってよかった、来てよかった、

と思われるような設計をしておくことをお勧めします。

年末年始に面接プロセスや位置づけを

見直してみてはいかがでしょうか、というご提案でした。

次回はWEB面接のハンディキャップを

リカバーするコツについて書こうかと思ってます。